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連載小説 僕がウェディングプランナーと言えた日

第7話 プチウェディング始動

スウィートブライド代表中道諒物語。ウェディングプランナーに憧れ百貨店を退職し起業。でも40歳で全てを失う大きな挫折。そこから懸命に這い上がりブライダルプロデュースの理想にたどり着くまでの成長ストーリー。※この小説はフィクションです。

2010年1月3日。

深夜バイトが終わり、姫路マンハッタンホテルの従業員通用口から出ようとしていた時、電話がなった。

(こんな朝早く誰だろう?)

スマホの画面を見ると「姫路銀行 青野正樹」と表示されていた。

(ん?青野さん・・・、何だろう?)

昨年の暮れから僕の心はネガティブという深い海の中にいて、正月のめでたさなんてちっとも感じる事なく生きているから、青野さんからの電話には嫌な感じがしてならなかった。

姫路銀行の青野さんは、前会社のオードリーウェディング時代の担当の人で年齢は僕と同じ40歳くらい。2年前にある取引先様からの紹介で知り合い、僕とは馬が合ったから以後定期的に話をするようになった。

昨年の7月、冬以降の運営資金が必要になり青野さんには色々と相談に乗ってもらった。その時が初めての取引で500万円の融資をお願いし、保証協会等の面接を経て9月にその融資が実行される予定だった。

しかしその矢先、僕が突然オードリーウェディングを辞める事になり、その融資も頓挫した訳だ。実行直前だっただけに、青野さんには多大なご迷惑をおかけしたという経緯がある。

そのあたりの事が走馬灯のように脳裏を駆け巡り、僕は青野さんからの電話に出るのを一瞬ためらっていた。

「・・・はい、中道です。」
「中道社長!あけましておめでとう!」
「あ、青野さん、あけましておめでとう。言っとくけどもう僕は社長じゃないからね。で、何?用事?」
「いや別に何って用事は無いんだけど、この正月休みの間で時間とれない?お茶でもどう?」

明るい青野さんのトーンに少し胸をなでおろす。

「明日の午前中なら大丈夫だけど」
「じゃ、明日10時に明日香でどう?」

翌日、喫茶明日香に入るとすでに青野さんはいた。
いつも白いヘルメットに原チャリで、いかにも銀行員という感じの紺色のスーツ姿しか見たことがなかったから、茶色のセーターを着たラフな青野さんを見るのはちょっと新鮮だった。

「今、どうしてるの!生きてる?」
青野さんは僕に聞きたい事が山ほどあるって感じで前のめりに話しかけてきた。

「その節は、本当にご迷惑おかけしました。」
僕は深々と謝ってから、プチウェディングというブライダル会社のコンサルをする事、リヴェラデザインというデザイン会社を作った事、今は深夜にホテルでバイトしている事などを簡潔に伝えた。

「中道社長とはいい出会いだったから、これで終わってほしくなくて。」
青野さんの第一声はこうだった。

(ひょっとしてこんな僕のこと気にかけてくれてたのか・・・。てっきり怒られるのかと思ってたけど)

「世の中には色んな社長がいてね、僕たちも銀行員という仕事上付き合ってはいるけど、好きじゃない人も多くいる。でも中道社長は最初からすごく誠実で真面目で、はったりを言う人でもないし、僕としては中道社長のような人にこそ頑張って欲しいし、協力したいと思ってる。」

「それはそれは、敗軍の将にあたたかいお言葉をありがとう。でもね、青野さんが言うようなやり手だったらこんな無様な姿にはなってないよ」

「いやいや、今回は結果的に退く事になったかもしれないけど、中道さんはポテンシャルあるし、きっとまた第一線に戻ってくる人。だから頑張ってください。僕にできる事があれば応援しますから!」

もう銀行から融資を受けて何か事業をしようなんて気はこれっぽちもないけど、ズタボロの今の僕にそんな風に言ってくれる事に感謝の気持ちでいっぱいになった。

そしてこれまでの事やこれからの事を色々話した。
気がつけば14時。4時間以上もくだらない話をしていた。

青野さんと別れた僕は、その足でプチウェディングの事務所に向かった。

そこにいたのは、山下洋子。
神谷さんが探してきたプチウェディングでウェディングプランナーをやってもらう事になる女性。
僕が最前線に出れなくなったので、僕の代わりのプランナーを探してもらってたんだ。
年齢は30代。面倒見の良い性格で同級生からは「お母さん」というあだ名で慕われているらしい。血液型もO型で、ウェディングプランナーにはピッタリのタイプだなと思った。基本的には世話好きでないとこの仕事はつとまらないから。

仕事は人だ。ブライダルの世界なんて特にそう。いい人がいればいい仕事ができる。
これからの僕の仕事は、彼女にウェディングプランナーとしての基礎を教え、彼女と二人三脚でプチウェディングを軌道にのせること。

まずはスタッフ探しからスタートだ。
結婚式を運営するには、プランナーの他に司会者、音響、カメラマン、美容師、花、衣裳、ギフト・・・など様々な分野のプロが必要になる。

翌週だった。
神谷さんが女性カメラマンを紹介してくれた。神谷さんの友人で、大手ゲストハウスで活躍している現役バリバリのカメラマン。技術も人間性もとてもステキな人だ。
そんな彼女の紹介で司会と音響の会社もあっさりと決まった。皆、大手式場で活躍してるステキな人ばかり。
格安が売りのプチウェディングなのに、スタッフは凄腕ぞろいという面白い船出となった。

僕が最初に動いたのは美容師探し。
オードリーウェディング時代にレストランウェディング会場としてお付き合いのあったジャバンティの磯山店長にアポをとった。
僕のお目当ては、ジャバンティ直営の結婚式でヘアメイクを担当している美容師を紹介してもらう事だった。

ジャバンティのランチ営業が終わった午後3時。
インドネシアのジャワ島をイメージした独特の世界観のエントランスから階段を2階へ上がり店内に入った。

「磯山店長!なかなか顔をだせなくてすみません。昨年はご迷惑をおかけしました」
この頃の僕は、誰と会ってもまずはおでこを地につけて謝罪するところから会話が始まっていた。

「よく来てくれたね!周りの人たちも皆中道さんの事心配してるよ。久しぶりに顔見れて元気そうで良かった」

磯山店長の満面の笑顔には救われる。

(きっと僕だけじゃなくて、この人は色んな悩める人をこのとびきりの笑顔で救ってるんだろうなぁ・・・)

そんな事を思いながら、僕は単刀直入に切り出した。

「知ってはると思うけど、今年からプチウェディングというプロデュース会社をスタートする事になりました。内容はオードリーウェディングとほぼ同じ。コンセプトや打ち出しは ”格安” なんだけど、ちゃんとしたレストランウェディングをプロデュースしていこうと考えてます。ジャバンティさんでもプロデュースをさせていただきたいと思ってるので、よろしくお願いします」

「全然いいよ!好きに使ってよ」
そう言って、明るく切り返してくれる磯山店長。本当にありがたいなぁと思いながら、僕は本題を切り出す。

「そこで相談なんですけど、磯山店長のとこで直の結婚式の時に使ってる美容師の鷲尾さんを紹介してほしくて・・・」

僕がそう言うと、これまで明るかった磯山店長の顔が一瞬曇ったように感じた。

「うーん・・・」
 
「やっぱり難しいですか?」

覗き込むように聞く僕に、磯山店長はすぐにいつもの笑顔に戻った。

「いや、いいよ!ただし条件として、うちが結婚式ある時はうち優先にさせてよ。でもうちが結婚式が無い日はうちに気を遣わずに、鷲尾さんと仕事してくれていいから」

「それはもちろん!」

こうして、この後の僕のブライダル人生において一番のパートナーとなっていく鷲尾響子を紹介してもらえるチケットを僕は手に入れた。

 

第8話に続く・・・



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